ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2010
IPSJ/SIGSE Software Engineering Symposium (SES2010)

プログラム (PDF版: 2010年8月29日20時更新)

タイムテーブル

8月30日8月31日9月1日
9:00-10:00受付受付
10:00-10:15ワークショップ基調講演2:
ソフトウェアエンジニアリングにおける
「場」づくり
10:15-10:30オープニング
10:30-11:30基調講演1:
クラウドコンピューティング時代のソフトウェア革命
11:30-12:00お昼休み
12:00-13:00お昼休み
13:00-14:30チュートリアル1:
ソフトウェア
プロダクトライン
セッション1:
プログラム理解
セッション2:
要求分析
チュートリアル5:
形式概念分析とは何か 〜その理論的背景と応用事例〜
セッション5:
メトリクス
セッション6:
テスト
14:30-14:50休憩休憩
14:50-16:20チュートリアル2:
ソフトウエア開発における法的紛争と契約書・構築過程の可視化の重要性
セッション3:
マイニング
セッション4:
信頼性
ミニパネル:
「ソフトウェア開発データ白書」に対する産学の期待と今後の展開
セッション7:
プログラム解析
セッション8:
形式手法
16:20-16:40休憩休憩
16:40-18:10チュートリアル3:
クラスタリングによるデータ分析の手法
チュートリアル4:
fault-proneモジュール予測技法の基礎と研究動向
招待発表クロージングパネル:
ソフトウェア開発・ソフトウェア工学は楽しい!
18:10-18:30クロージング・CS領域奨励賞表彰式
18:30-20:00情報交換会

基調講演1
8月31日 10:30〜12:00 (司会: 紫合 治 (東京電機大学))

講演題目
クラウドコンピューティング時代のソフトウェア革命
講演者
及川 卓也(グーグル)
概要
本講演では,クラウドコンピューティング時代におけるソフトウェアの役 割と開発手法の変革を Google における各種製品での実例を交え解説する. Google では高い精度の検索サービスを,包括的なデータをもとに関連性の高い 検索結果を最適なユーザー体験と適切なレイテンシで提供することにより実現し ている.これらを支える技術を解説し,クラウドコンピューティング時代に求め られるソフトウェア開発のあり方を解説する.

基調講演2
9月1日 10:00〜11:30 (司会: 野中 誠 (東洋大学))

講演題目
ソフトウェアエンジニアリングにおける「場」づくり
講演者
松本 吉弘(京都高度技術研究所)
概要
素粒子に,局在性と波動性があるように,ソフトウェアエンジニアリングにおける「場」にも,「個」を創造する物質性(局在性)と,システム(全)として機能する波動性(非局在性)が存在する.世界市場に広く根を張らねば生きていけなくなった昨今のソフトウェア事業の「場」では,文化の異なる国の議会,マスコミ,顧客,ユーザ,サプライヤ,ワーカ,資源開発業界,廃棄物処理業界などに対する非局在性が,局在性とともに強く求められている.既成の自然科学における「場」の理論,および社会科学,生命システム科学における「場」の思想から,ソフトウェアエンジニアリングにおいて,もの/こと/ひとの三視点から,問題解決へ向けた戦略的「場」のあり方を考える.合わせて、これまで実践されてきた日本のソフトウェア開発・保守現場における「場」の特性を振り返り,これから国際市場を勝ち抜いていくための「場」づくりについて考える.
追加資料
ソフトウェアエンジニアリングにおける「場」づくり(マネージャ向けサマリー)

チュートリアル

チュートリアル1: ソフトウェアプロダクトライン
8月31日 13:00〜14:30
講演者: 岸 知二(早稲田大学)
司会: 野田 夏子(NEC)
概要
ソフトウェアプロダクトラインは製品系列に注目したソフトウェアの再利用形態である.本チュートリアルでは,再利用技術と言う観点から,可変性管理,プロダクトラインアーキテクチャ設計,製品導出などについて説明するとともに,モデル駆動開発とのかかわりなどについて紹介する.
チュートリアル2: ソフトウエア開発における法的紛争と契約書・構築過程の可視化の重要性
8月31日 14:50〜16:20
講演者: 北岡 弘章(きたおか法律事務所)
司会: 羽生田 栄一(豆蔵)
概要
ソフトウエア開発に関する訴訟は複雑かつ長期化しやすく,解決が困難な訴訟類型だとされています.このような紛争を未然に予防すると共に,問題が生じた場合であっても速やかに解決するためには,契約書の工夫とともに,構築過程を可視化することが不可欠です.ソフトウエア開発紛争における問題点とそれを解決するためにどのようなことに注意すべきかについて報告します.
チュートリアル3: クラスタリングによるデータ分析の手法
8月31日 16:40〜18:10
講演者: 神嶌 敏弘(産業技術総合研究所)
司会: 小林 隆志(名古屋大学)
概要
クラスタリングとは,その内部では類似しているが,外部とは異なっているようなクラスタと呼ぶ集団に,データを分類する手法である.本公演では,基本的な手法とその特徴を紹介し,それを利用する上での注意点を紹介する.加えて,大規模・高次元化に対応するための研究の展開にもふれる.
チュートリアル4: fault-proneモジュール予測技法の基礎と研究動向
8月31日 16:40〜18:10
講演者: 野中 誠(東洋大学), 水野 修(京都工芸繊維大学)
司会: 阿萬 裕久(愛媛大学)
概要
「ソフトウェア欠陥の約80%は,約20%のモジュールに存在する」という経験則がある.欠陥がありそうな20%のモジュールを特定できれば,それらのモジュールのレビューやテストを重点的に実施することで,ソフトウェア品質保証の効率と効果を高めることが期待される.この分野の研究は,1990年代のオブジェクト指向設計メトリクスの登場,2000年代以降のオープンソースソフトウェア開発における公開欠陥データの利用,さらには近年の統計解析ツールの高度化に伴い,分析技法として着実に進化している.一方で,実務的なソフトウェア開発データに適用する工夫からやや乖離した感があり,研究成果を実務へとフィードバックする努力が求められる.本チュートリアルでは,まず,fault-proneモジュール予測の基本的かつ具体的な分析方法を紹介し,fault-proneモジュール予測分析の典型的手順を紹介する.その上で,この分野における研究動向の変遷と,研究成果により示された知見などを,筆者らの経験を交えて紹介する.また,この分野における最新の研究事例などを紹介し,筆者らが考える同分野における今後の研究展望を紹介する.
チュートリアル5: 形式概念分析とは何か 〜その理論的背景と応用事例〜
9月1日 13:00〜14:30
講演者:鈴木 治(浜松大学)
司会: 鹿糠 秀行(日立製作所)

論文セッション

セッション1: プログラム理解 (座長: 吉田 敦 (南山大学))
8月31日 13:00〜14:30
  • (最優秀論文賞)[研究論文] Feature Location を用いたソースコード理解の対話的支援
    関根 克幸, 林 晋平, 佐伯 元司(東京工業大学)
  • (学生奨励賞)[レター論文] リファクタリングの抽出・適用によるソースコード差分の理解支援
    タンタムマチット シリナット, 林 晋平, 佐伯 元司(東京工業大学)
  • [レター論文] 利用者で行う処理の追加設定を支援する表現属性の相互作用に基づく処理理解モデル
    古宇田 フミ子, 近山 隆(東京大学)
セッション2: 要求分析 (座長: 白銀 純子 (東京女子大学))
8月31日 13:00〜14:30
  • [研究論文] 要求工学知識体系(REBOK)の開発と評価
    青山 幹雄(南山大学), 中谷 多哉子(筑波大学), 斎藤 忍(NTTデータ), 鈴木 三紀夫(TIS), 中崎 博明(富士通エフ・アイ・ピー), 藤田 和明(日立システムアンドサービス), 鈴木 律郎(情報サービス産業協会)
  • [研究論文] 業務改革に向けた現場要求を把握するための技法〜エスノ-コグニティブインタビュー・分析〜
    矢島 彩子(富士通), 平 春雄(FUJITSUユニバーシティ)
  • [研究論文] ゴール指向分析法による要求獲得時のテスト可能性確認の提案
    沖汐 大志, 妻木 俊彦(日本ユニシス)
セッション3: マイニング (座長: 林 晋平 (東京工業大学))
8月31日 14:50〜16:20
  • [研究論文] 要求・設計資産からのプロダクトラインアーキテクチャ抽出
    熊木 健太郎, 鷲崎 弘宜, 深澤 良彰(早稲田大学)
  • [経験報告論文] スコーピング支援のためのソフトウェア類似性分析手法の提案
    岸本 康成, 坂本 啓, 市川 裕介, 佐藤 宏之, 小林 透(NTT情報流通プラットフォーム研究所)
  • [研究論文] リポジトリ再構築によるメソッドトレーサビリティの実現
    畑 秀明(大阪大学), 水野 修(京都工芸繊維大学), 菊野 亨(大阪大学)
セッション4: 信頼性 (座長: 花川 典子 (阪南大学))
8月31日 14:50〜16:20
  • [研究論文] サービス指向車載ソフトウェアのリアルタイム協調サービス制御の設計方法と評価
    永東 丈寛(デンソー), 青山 幹雄, 中道 上(南山大学), 佐藤 洋介, 岩井 明史(デンソー)
  • [研究論文] Dependability Cases を用いたソフトウェアの運用時検査法
    中田 晋平, 平岡 裕太郎, 五嶋 壮晃(横浜国立大学), 菅谷 みどり(科学技術振興機構), 倉光 君郎(横浜国立大学)
  • [研究論文] Case Wiki: 組織を越えたDependability Cases 構築システム
    平岡 佑太郎, 中田 晋平(横浜国立大学), 菅谷 みどり(科学技術振興機構), 倉光 君郎(横浜国立大学)
セッション5: メトリクス (座長: 山本 晋一郎 (愛知県立大学))
9月1日 13:00〜14:30
  • [研究論文] インパクトスケールを用いた大規模ソフトウェア保守の障害予測
    小林 健一, 松尾 昭彦(富士通研究所), 井上 克郎(大阪大学), 早瀬 康裕(東洋大学), 上村 学(富士通研究所), 吉野 利明(富士通)
  • (学生奨励賞)[研究論文] 工程管理表のフラグメントプロセスに基づくソフトウェア開発プロセスの複雑さのメトリクス
    尾花 将輝(奈良先端科学技術大学院大学), 花川 典子(阪南大学), 飯田 元(奈良先端科学技術大学院大学)
  • [レター論文] オープンソースソフトウェアにおけるコメント文記述 とフォールト潜在率との関係に関する実証的考察
    阿萬 裕久(愛媛大学)
セッション6: テスト (座長: 川口 真司 (有人宇宙システム))
9月1日 13:00〜14:30
  • [研究論文] テストカバレッジに基づく重複テストコードの検出ツール
    坂本 一憲(早稲田大学), 和田 卓人(タワーズ・クエスト), 鷲崎 弘宜, 深澤 良彰(早稲田大学)
  • [研究論文] クラス間関係を利用した単体テストおよび静的検査の網羅率可視化手法
    武藤 祐子, 岡野 浩三, 楠本 真二(大阪大学)
  • [研究論文] ドメイン特化型開発におけるテストケース自動生成手法の提案と評価
    森 奈実子(東芝), 久住 憲嗣, 中西 恒夫, 福田 晃(九州大学)
セッション7: プログラム解析 (座長: 飯田 元 (奈良先端科学技術大学院大学))
9月1日 14:50〜16:20
  • [研究論文] 属性付き字句系列に基づくプログラム書換え支援環境の試作
    吉田 敦, 蜂巣 吉成, 沢田 篤史, 張 漢明, 野呂 昌満(南山大学)
  • [研究論文] コードクローン検出に必要な計算コストの削減を目的としたプログラム依存グラフ頂点集約法の提案
    肥後 芳樹, 楠本 真二(大阪大学)
  • [研究論文] CASEツール・プラットフォームのためのCソースプログラムのXML表現とその応用
    渥美 紀寿(名古屋大学), 山本 晋一郎(愛知県立大学), 小林 隆志, 阿草 清滋(名古屋大学)
セッション8: 形式手法 (座長: 中島 震 (国立情報学研究所))
9月1日 14:50〜16:20
  • [研究論文] 図式モデルのための形式仕様記述への変換方法と支援ツールの開発
    村上 祥平(日立アドバンストデジタル), 小飼 敬(茨城工業高等専門学校), 上田 賀一(茨城大学)
  • [研究論文] Jackson の要求・仕様参照モデルに基づく要求追跡の形式手法
    北村 崇師, 岡本 圭史, 武山 誠(産業技術総合研究所)
  • [経験報告論文] ビジネスアプリケーション開発における追跡可能性構築への取り組み
    大橋 恭子, 栗原 英俊, 田中 ユカ, 野津 昌弘, 山本 里枝子(富士通研究所)

ポスター展示
8月31日〜9月1日

招待発表
8月31日 16:40〜18:10 (司会: 山本 里枝子 (富士通研究所))

情報交換会
8月31日 18:30〜20:00

会場
東洋大学白山キャンパス スカイホール(2号館16階)
☆ 建設中のスカイツリーが見えます ☆
キャンパスマップ:http://www.toyo.ac.jp/campus/hakusan_j.html
会費
3,000円(食事/飲物代込み)
当日,情報交換会の会場受付にて,現金でお支払い下さい.
申込
情報処理学会の参加申込で,該当項目をチェックしてお申し込み下さい.
情報交換会のみ参加希望の場合は,【問い合わせ先】までご連絡下さい.
当日参加も可能ですが,できるだけ事前にお申し込み下さい.

ミニパネル
9月1日 14:50〜16:20

「ソフトウェア開発データ白書」に対する産学の期待と今後の展開
パネリスト
山下 博之,秋田 君夫,三毛 功子(IPA/SEC),阿萬 裕久(愛媛大学),吉村 健太郎(日立製作所)
司会
野中 誠(東洋大学)
概要

IPA/SECでは,2005年から「ソフトウェア開発データ白書」を毎年発行している. また,「信頼性評価指標」の収集も試みている.このようなマクロな情報を収 集・提供する取り組みは日本初であり,産業界におけるベンチマークデータの蓄 積という観点から大変に意義深い.

しかしながら,各企業では「データ白書」の使い方に迷っている.自組織の パフォーマンスをベンチマーキングできることの意義はよく理解されている. しかし,その先にあるプロセス改善や施策立案に役立てようと思うと,活用の 仕方に困る場合がしばしばある.また,大学の研究者も,身近な国内に 「データ白書」という素材がありながら,これをうまく活用できていない.

本セッションでは,IPA/SECにおけるデータ蓄積と活用の取り組みについて紹介 したのち,産と学の視点から,日本の共有財産である「データ白書」の活用の可 能性について議論する.また,産学のニーズだけでなく,IPA/SECにとって 「データ白書」の価値をどう訴求すべきかなど,セッション参加者の意見も 交えながら,ざっくばらんに議論したい.

クロージングパネル
9月1日 16:40〜18:10

ソフトウェア開発・ソフトウェア工学は楽しい!
パネリスト
大槻 繁(一),玉井 哲雄(東京大学),中谷 多哉子(筑波大学),羽生田 栄一 (豆蔵)
司会
丸山 勝久(立命館大学)
概要
フレデリック・ブルックスの「No Silver Bullet」にあるように,ソフトウェアの本質的な複雑性により,ソフトウェア開発は難しいといわれている.しかし,逆に考えれば,ソフトウェア開発は,実世界における本質を扱う非常に高度で,やりがいのある知的活動である.さらには,ソフトウェアの持つ本質的な複雑性を扱うソフトウェア工学は,きわめて困難な課題に挑戦しているという意味でも,本来楽しい活動である.本パネルでは,研究,実践,教育という観点から,ソフトウェア開発およびソフトウェア工学に関わる楽しさを,パネラーを交えて討論,探究する.